2012年〜2013年度 1月例会報告 「但馬方言物語 その2」
日時 : 2013年1月26日(土)12:00~16:00 (豊岡は大雪)
場所 : 昼食は「ふじの実」
     例会は「とよおか作業所愛とーぷ」(豊岡市上陰164)
講師 : 谷口 裕さん(豊岡市在住、豊岡市立港中学校英語教諭)

◇テーマの狙いと結果
平成24年度但馬学研究会例会のテーマ「但馬方言物語」の第2弾。前回(昨年9月)は方言についての基礎的なこと、但馬方言の位置づけなどを学び、今回は語彙(表現、ボキャブラリー)を中心に、講師と参加者との双方向でにぎやかな学習ができた。



◇レポーター峠のひとり言
当日は、豊岡地方は大雪。吹雪の中を参加者が集まった。会長は、大屋の方はカンカン照り、太陽さんが顔を出していた、日高あたりから雪になった、と言われた。但馬は広いと思った。先生のお話「但馬の方言―語彙編」でもそれぞれが発表し合うと、住んでいる所で語彙にも微妙な違いがあるのが分かり、但馬は広いと思った。但馬学研究会のメンバーはいずれもそこそこの年齢で、但馬各地から集まっているので、古い方言の宝庫かも知れないと思った。講師先生も逆に勉強になったと言われた。以下レジメに沿ってメモをもとに記録することにする。

1、但馬周辺の語彙の伝播経路
・但馬ことばは、主として京都、播州、鳥取から入っている。京都からR9沿いで春来、山陽道播磨から余部、同じく岡山から八頭郡経由で余部、同じく広島から日野郡、鳥取経由で余部である。
・山陽道は伝播が速い(人的、文化的交流が密なため)
・八頭、日野と豊岡には同じことばがある。
・鳥取は方言のどん詰まりで古い言葉が残っている。
・新温泉町にも古いことば「ヨダキー」(気が悪い)が残っている。
・京丹後と南山城郡には同じことばがある。
・アクセントは、なかなか抜けないが、語彙は抜けやすい
・生野町は通婚圏は播州で、播州弁に近い。
・どん詰まりの地域になぜ古いことばが残っているのか。それは、そのことばが伝わってからまだあまり時間が経っていないからだ。
・小代のことばがどん詰まりだ.
・ゆすり音調は、但馬の海辺によく残っている。富山県から北陸を通って伝わった。EX なあぁ。豊岡市の港地区では、わかれへん→わからへん
 出れへん→出られへん しとれへん→しとられへん
・ことばは、日本海沿いに九州まで続いているという説もある。



2、但馬らしい語彙
EX がっせぇ  がっしゃー  語源は合才
   ねしくる(上方でもいう)
   なつべる(まつむ。集める)
   あはう(ahu) あはあ(aha:) 南はあほう
   だらず(新温泉町:ノータリンのこと)
   だらう(大屋、関宮以南)
   うら(後ろ:日高)
   めんだーげな(世間体が悪い)
   さーでなもん(大したものでないこと)
   あたをする(あだうちをする)
   またぞうろ(また)
   いっしく(しょっちゆう)
   いねばらし(稲こき・脱穀)
   へーえあッー(大屋:あいさつ)
   ぼり(もぐ:柿ぼり)
   ぼる(水が漏る。mはbになりやすい)
   こうじゃあ(口が達者:口才)
   あじけえ(きれいに:南但)
   あだける(香住では通じない。上方言葉が少ない)
   ねっつう(すべて)
   ふんごむ
   めりこむ

3、次の語彙はそれぞれの地域では
 (このセクションでは、講師を交え参加者が記憶をたどり自由に発言し、同じ但馬でも「ところ変わればことば変わる」ことが浮き彫りになった。)
●十能〈じゅーのう。柄が木材のもの〉
●小型の十能(せんば。柄が金属)
●竹製の笊(てつき。そうけ。てっつき)
●田植え休み(さなぼり。さなぶり。香住ではしろみて。中国地方ではしろみて)
●襖(東京、四国、但東、浜坂の一部はからかみ。唐紙か?ふすまの方が新しい)
●桑の実(ひなべ、ふなべ、丹波ではふなべ(
●里芋(ずいきも、田芋、こいも)
●ジャガイモ(にどいも、馬鈴薯、はっしよういも、ごしょういも、東北でもにどいも、但馬以外でオランダいも)
●合歓木(かーかの木、こーかんぼ)
●イタチ(八鹿、温泉町ではトマス)
●蟻地獄(ももんじょ、こもこも)
●イナゴ(とっちんば)
●ツバメ(ひーご。飛べないツバメの幼鳥。江戸時代の辞書で妙見ひーご。)
     辞書名は「物類称呼ぶつるいしょうこ。但馬弁も載っている」
●モグラ(むくろ)
●ツクシ(ツクシンボ、スギボーシ、ツクツクボーシ)
●スギナ(マツナ)
●彼岸花(ボンバナ、キツネの嫁入り、キツネのかみそり)
●イタドリ(ダンジン、ダンジリ、カッポン、スッカンポン)
●米びつ(白米の場合,カン、カラト)
●蚕(カイコさん)
●蚕の繭(まゆ、大きい繭はドラ)
●メダカ(5,000種くらいある。コメンジャコ,メメチャンゴ)
●川の洗い場(いと、かわいと、かわせと。香住、浜坂ではいとば。いとのとは止かも。古地図で井戸の表示を見たことがある、峠、友田)
●お手玉(おーさーら。おじゃみ。こびいし。いしなんご)



4、確認のとれない語彙
○ぼーふら(浜坂の一部で、カボチャ。大阪で、唐ナス)
○こもこも(蟻地獄)
○たぐる(大屋、四国では咳をすること)
○とちめんぼー(ふる)(当惑する)
○あまる(雷が落ちる。浜坂で天から余るのでいう)
○ぎゅうかく(きちょうめん)
○コオロギ(くろこ)
                                                                                   【文責】 峠

| comments (0) | trackback (0) |
コメント
コメントする
  







この記事のトラックバックURL
http://tajimagaku.net/blog/tb.php/97
トラックバック
コメント
リンク
但馬学研究会へのメール
LOGIN
現在のモード: ゲストモード
USER ID:
PASS:
OTHERS
COUNTER
合計: 182271
今日: 26
昨日: 22
(Since 2007/3/29)
POWERED BY
POWERED BY
ぶろぐん
SKIN BY
ブログンサポート