2010年2月例会 「城崎温泉今昔」

開催日   2010年2月27日(土)
開催市町  豊岡市城崎町
テーマ   城崎温泉今昔
講 師   元井 康恵 氏(豊岡市役所城崎総合支所 温泉課課長)
      小川 祐泉 氏(高野山真言宗別格本山 末代山温泉寺住職)
場 所   温泉寺薬師庵および本堂(豊岡市城崎町湯島)
参加者   中田・浜野・峠・高石・足立・谷岡・久保・岩本m・上田・椿野
      飯尾・戸田・中嶋(13名)
      (会員外2名)
担 当   椿野・戸田・守山・飯尾・中嶋

   

■温泉課課長
城崎町は1400年の古い歴史を持つ温泉地で、昔から「但馬の湯」として多くの人々に知られている。
天正天皇の養老元年(717年)に道智上人がこの地を訪れ、難病に苦しむ人々を救うため千日の間難行を修め、その満願の日養老4年1月8日の明け方、8か所を選んで掘り下げると「天より華雨降り、地より沸々と温泉が湧いた」ので、里人達は「まんだら湯」と名付けたと伝えられている。
明治28年、湯島財産区にこれが移管されたが、その頃の湯銭は1まわり(1週間)が3銭から10銭であった。
日露戦争の傷病兵の療養地として指定され、明治43年山陰線の鉄道開通によってにわかに活気づき日々賑わい繁栄した。
また町の財産区なるものは特別地方公共団体であるため、毎年の年度末には議会が開かれる。
(Q)泉源はいくつありますか?
(A)4箇所ある
(Q)総湧出量はいくらですか?
(A)毎分1470L、平均温度59.4度C
(Q)城崎の外湯は有名だがいくらあるのでしょうか?
(A)まんだら湯、鴻の湯、御所の湯、一の湯、柳湯、地蔵湯、さとの湯の七湯がある

■温泉寺住職
「温泉寺縁起」(大永8年)によれば、温泉寺は城崎温泉を開いた道智上人により創建された。道智上人は地蔵菩薩の化身といわれ、広く衆生済度の大願を発して諸国を巡り、養老元年(717年)この地に来て当所鎮守四所明神に祈願をこめ、明神の信託を得て、翌養老2年から4年にかけて一千日の間、八曼荼羅の修行をなし温泉を開いた。
温泉寺の御本尊は十一面観音立像で、但馬地方の代表傑作。奈良や京都のこの頃の観音像に比べても堂々と対抗し得る彫刻だ。一本の彫成で量感に満ち満ちたものだ。
大和の仏師稽文が長谷寺の観音と同木(桧)で観音像を作り、それが安置されている。この像は33年目ごとの御開帳の秘仏である。次の御開帳は平成30年4月23日からの3年間。但し毎年4月23・24日の開山忌には御開扉があり、拝顔することは出来るが全体像を見ることは出来ない。
試みに温泉寺に祀られている仏像を示してみる。
・木造十一面観音立像(国指定重要文化財)
・木造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)
・木造四天王立像(県指定重要文化財)

温泉寺の記録によると、明治の終わり頃までは入浴に来た者はまず温泉寺に参詣し、寺から祈祷した湯杓を受け、肩から湯を浴びせていたと記されている。
既に知られている事ですが、城崎には生粋の但馬人画家、斉藤畸庵がいる。彼は沢庵宗彭と池田草庵を含め但馬三庵と呼ばれ、但馬を代表する文化人である。同寺の襖絵は畸庵が1840年40歳位の時に描いたもので、他にも掛け軸も各地で大切に所蔵されている。
※(注)この書面の畸庵に関する資料は但馬史の中から戴いたものです。

(Q)現在ご住職は何代目ですか?
(A)29世をお勤めしている。
(Q)別格本山とは何を意味しているのか?
(A)真言宗大本山は高野山にあり、3500の末寺がある。その内の50ヶ寺が天平10年(738年)、時の聖武天皇から末代山温泉寺の勅号を賜った。
(Q)私達は真言宗の住職さんの事を法印さんと呼んでいるが、その呼び名でよいのですか?
(A)一般的にはその名で呼ばれているが、正式に法印さんと呼ばれる人は本山にただ一人しか居られない。それ程の高貴な職名の人を指す。

今回の講演を受け、少なくとも1400年も前から人々は温泉によって常に体を休め、心も癒して来たのでしょう。現在もそうしている事を知った。格差社会という難しい今、文明の力だけでなく無欲で自然の力を受けるなら道は開けるのかも知れないですよ…。

【報告者 飯尾文男】



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